私は中学のときにチェロを始め、社会人になった今では都内のオーケストラで首席奏者を務めています。
チェロの初心者から上級者まで、共通の悩みが「どの弦を使うのがいいのか」ということ。自分ですべて試せればいいですが、チェロの弦は値段が高いので何種類も試すのは大変ですよね…
そこで今回は、私がこれまでに試したチェロの弦5種類を徹底的にレビューしてみたいと思います!
チェロの弦で有名なものは抑えてあるので、ぜひ参考にしてみてください。
まずは弦の種類を理解しよう!
チェロの弦レビューに入る前に、まずはぜひ抑えておきたい「弦の種類」について解説します。
すでにご存知かもしれませんが、バイオリンの弦は芯材の違いによって3つに分けられます。
・スチール弦…金属の線
・ナイロン弦…合成繊維の線
・ガット弦…羊の腸から作られた線
それぞれ特徴を持っているので、もう少し詳しく解説します。
スチール弦
その名の通り、弦の芯に金属の素材が用いられている作りです。
スチール弦の特徴は、音量が大きくチューニングが安定しやすいこと。実際に張ってみるとわかりますが、ナイロン弦やガット弦よりもずっと早く安定します。
初心者の方でも使いやすいスチール弦ですが、音色は少し硬いかなという印象です。表現力の幅を求めるのなら、ナイロン弦やガット弦の方がいいでしょう。
ナイロン弦
ナイロン弦は最もポピュラーな種類で、音色はスチール弦よりも柔らかく、ガット弦に近い音色の深みもあります。
チューニングはスチール弦ほどではないものの数日で安定するので、演奏経験が浅い方でも問題なく使えると思います。
個人的には総合的に見て1番おすすめの種類です。
ガット弦
ガット弦は羊の腸から取り出した繊維を用いたもので、極めて柔らかく深い音色が魅力です。
純粋に音色を追求するならガット弦が1番ですが、大きな欠点してはチューニングが安定しないこと。
私が試したときは張ってから1ヵ月経っても不安定で、温度・湿度に大きく左右されてしまいました。オーケストラの本番中にもずれやすいので結構困ります。
それでもガット弦にしか出せない特別な音色のために、愛用している奏者も多いです。
【決定版】チェロ弦 おすすめランキングTOP5!
ランキングを作成するにあたり、まずは「音色」「弾きやすさ」「チューニングの安定性」の3つを重視し評価しています。その上で「弦の寿命」「価格」も考慮しました。
第1位 エヴァピラッツィ
私が最もおすすめする弦はピラストロ社から出ている「エヴァピラッツィ」です。その魅力は何といっても、華やかで輝かしい音色。
オーケストラ・室内楽などいかなる場面でも、明るい音色が簡単に出せて重宝します。深みのある音も表現できるので、旋律では独壇場となるでしょう。
これほど「ブリリアント」という言葉が似合う弦はありません。
チューニングも比較的早く安定するので使いやすいですね。値段は少し高いですが、エヴァピラッツィにしか出せない音がありますよ。
弦の種類 | ナイロン弦 |
---|---|
特徴 | 明るく輝かしい音、安定するのが早い、寿命が長い |
評価 |
第2位 スピロコア
トマスティック・インフェルド社の「スピロコア」は、チェロの弦では定番の1つ。芯材はスチール弦ですが、音色も柔らかく表現の幅も広いです。
またスチール弦の魅力である音量の大きさも十分あります。オーケストラの強奏部分など、ここぞという場面で大きな音が出せるのは助かりますね。
そしてチューニングの安定も抜群に早いです。スピロコアならチェロ初心者でも安心して使えるでしょう。
コスパで選ぶならスピロコアがおすすめです。
弦の種類 | スチール弦 |
---|---|
特徴 | 比較的柔らかい音色、大きな音量が出せる、最も早く安定する |
評価 |
第3位 ラーセン
チェロの弦では「ラーセン」も定番で、特にA線はラーセンが1番という人も多いです。かく言う私も、A線はラーセンにしてCDG線をエヴァピラッツィにすることがほとんどです。
そんなラーセンの特徴は張りのある伸びやかな音色。高音はホールの隅まで届くかのようで、音色も柔らかく素晴らしいです。
また音の線が太いので、CDG線をエヴァピラッツィにしても違和感がありません。ラーセンは弾いていて気持ちがいいですよ。
弦の種類 | スチール弦 |
---|---|
特徴 | 張りのある伸びやかな音色、A線が特におすすめ |
評価 |
第4位 ヤーガー
「ヤーガー」はチェロ初心者から上級者まで多くの奏者が使っている定番弦。スチール弦らしい硬くて透明感のある音が特徴です。
ただ音色はもう少し深みが欲しいところ。音の線も細く、大事なところで物足りないと感じることも少なくありません。
それでもチューニングの安定性はトップクラス。値段もお手頃ですし、チェロ初心者の方はまずヤーガーを試してみてもいいでしょう。
弦の種類 | スチール弦 |
---|---|
特徴 | 硬くて透明感のある音、音の線は細め、安定性は抜群 |
評価 |
第5位 オリーブ
ガット弦の王様である「オリーブ」は、圧倒的に輝かしい音色が魅力。音色だけで言えば、間違いなく1位です。
ガット弦の美味しい部分を凝縮したような音で、音の張り・柔らかさ・音量・深みなど完璧。オリーブの音を知ってしまうと、他の弦に戻れなくなる可能性すらあるでしょう。
そんなオリーブの大きな欠点は、チューニングが安定しないこと。ガット弦特有の安定性の低さが顕著で、弦を張ってから1ヵ月は不安定です。
演奏会本番でチューニングがずれると困るので、余裕を持って3ヵ月前くらいに張り替えるのがおすすめです。
弦の種類 | ガット弦 |
---|---|
特徴 | 張りのある輝かしい音色、チューニングは不安定 |
評価 |
1番のおすすめチェロ弦はエヴァピラッツィ
以上、私がこれまでに試したチェロの弦を5種類紹介しました。
1番のおすすめはやはりエヴァピラッツィ。まだ使ったことのない方は、ぜひ試してみてください。
また自分の好みに合わせて、弦を選ぶのも良いでしょう。どれにするか悩んだら、次の3つから選べば失敗しません。
エヴァピラッツィは少し値段が高いものの、弦としての価値は値段以上です。音色・弾きやすさは申し分なく、オーケストラ・室内楽のいずれの場面でも重宝します。
この機会に、あなたの演奏をレベルアップさせてみてください。
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